知的財産法 後期第3回
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今日の課題:軽井沢浅間高原ビールという商標を出願しようと思っている。先願先登録の商標「軽井沢高原ビール」が存在する。「軽井沢浅間高原ビール」は商標登録可能か。商標法3条〜商標法4条1項11号までの登録要件を考慮して考察してください。
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さて、まずは、軽井沢浅間高原ビール事件を参考に、商標のあり方をみてみよう。
このデザインにおいて、商標法的にどうなのかを考えてみよう。
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もう一つは、この事件、フランク・ミュラーという先行した登録商標がある。
フランク三浦という名前(商標)で、時計を販売することは許されるのだろうか?
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商標法
第一条 この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
(商標権の効力)
第二十五条 商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。
(侵害とみなす行為)
第三十七条 次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。
一 指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用
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商標法の保護対象(H26年改正商標法)
商標の定義
第二条 この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
1.業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
2.業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)
2 前項第二号の役務には、小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれるものとする。
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商標は「標章」である。
「標章」でないものは「商標」とは言えない
「標章」=人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの。
知覚とは、人の持つ感覚である
視覚
聴覚
嗅覚
味覚
体性感覚(目・耳・鼻・舌などの感覚器以外で感知する感覚。触覚・痛覚などの皮膚感覚,筋の収縮状態を感知する深部感覚,内臓の痛覚など。)
「標章」とは、「人の知覚によって認識されるもの」である
よって、知覚により認識された商標の持つイメージが人の脳裏に刻まれ、以下のような機能が発揮される・・・商標の機能
出所表示機能
同一の商標を付した商品又は役務は、いつも一定の生産者、販売者又は提供者によるものであることを示す機能
品質保証機能
同一の商標を付した商品・役務は、いつも一定の品質又は質を備えているという信頼を保証する機能
広告機能
商標を広告に使用することにより、その事業者の商品・役務であることを需要者・消費者に伝え、商品・役務の購買・利用を喚起させる機能です。
「標章」は、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるものに限定される
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立体商標とデザイン保護の関係
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業者による使用・・・商標の主体的要件
業として商品を生産し、証明し、又は譲渡するもの
業として役務を提供し、又は証明するもの
がその商品や役務について使用をするものが商標であり
業としてではない場合、それは商標を使用したとは言えない。
商品・役務について使用
業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)
2 前項第二号の役務には、小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれるものとする。
商品とは、商取引の目的たり得るべき物、特に動産をいう。
役務とは、他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきものをいう。
小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれる。
標章の「使用」とは
3 この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。
一 商品又は商品の包装に標章を付する行為
二 商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
三 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為
四 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
五 役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為
六 役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為
七 電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。次号において同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為
八 商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為
九 音の標章にあつては、前各号に掲げるもののほか、商品の譲渡若しくは引渡し又は役務の提供のために音の標章を発する行為
十 前各号に掲げるもののほか、政令で定める行為
4 前項において、商品その他の物に標章を付することには、次の各号に掲げる各標章については、それぞれ当該各号に掲げることが含まれるものとする。
一 文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合の標章 商品若しくは商品の包装、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告を標章の形状とすること。
二 音の標章 商品、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告に記録媒体が取り付けられている場合(商品、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告自体が記録媒体である場合を含む。)において、当該記録媒体に標章を記録すること。
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商標登録の要件
第三条 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。 (使用意思の問題)
一 その商品又は役務の普通名称を 普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
二 その商品又は役務について慣用されている商標
三 その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。第二十六条第一項第二号及び第三号において同じ。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標 (ーーーー記述的商標)
四 ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
五 極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標
六 前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標
2 前項第三号から第五号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。
使用の意思
第三条 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。
自己の業務・・出願人本人の業務に加え、出願人の支配下にあると実質的に認められる者の業務
1) 出願人がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社の業務
2) 1の要件を満たさないが資本提携の関係があり、かつ、その会社の事業活動が事実上出願人の支配下にある場合の当該会社の業務
3) 出願人がフランチャイズ契約におけるフランチャイザーである場合の加盟店(フランチャイジー)の業務
「使用をする商標」について
(1) 「使用をする」とは、指定商品又は指定役務について、出願人又は出願人の支配下にあると実質的に認められる者(以下「出願人等」という。)が、出願商標を現に使用し ている場合のみならず、将来において出願商標を使用する意思(以下「使用の意思」と いう。)を有している場合を含む。
(2) 指定役務が、例えば、次のような場合には、商標を使用できない蓋然性が高いも のとして、本項柱書により登録を受けることができる商標に該当しないと判断する旨の拒絶理由の通知を行い、出願人が指定役務を行い得るか確認する。(例)
指定役務に係る業務を行うために法令に定める国家資格等を有することが義務 づけられている場合であって、願書に記載された出願人の名称等から、出願人が、 指定役務に係る業務を行い得る法人であること、又は、個人として当該国家資格等 を有していることのいずれの確認もできない場合。
3条1項柱書き違反の商標
立体商標であるとの表示はあるが、示された図形から立体形状が認識できないもの
動き商標であるとの表示はあるが、どのような動きかが特定できないもの
ホログラム商標との表示はあるが願書に記載した商標から、ホログラフィーとして標章の変化の状態が確認できない場合
色彩のみからなる商標との表示はあるが、商標が色彩のみからなる商標を構成するものと認められ ない場合(文字や図形等を認識させる場合など)
音商標である旨の記載はあるが、商標が音商標を構成するものと認められない場合
位置商標である旨の記載があるが、位置が不明確な場合
普通名称
一 その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
一般的な名称: 商品「電子計算機」について、商標「コンピュータ」
略称:商品「スマートフォン」について、商標「スマホ」
俗称:商品「塩」について、商標「波の花」
「普通に用いられる方法で表示」
(1) 商品又は役務の取引の実情を考慮し、その標章の表示の書体や全体の構成等が、取引者において一般的に使用する範囲にとどまらない特殊なものである場合には、「普通に用いられる方法で表示する」には該当しないと判断する。(例1) 「普通に用いられる方法で表示する」に該当する場合 ・・取引者において一般的に使用されている書体及び構成で表示するもの
(例2) 「普通に用いられる方法で表示する」に該当しない場合 ・・取引者において一般的に使用する範囲にとどまらない特殊なレタリングを施し て表示するもの又は特殊な構成で表示するもの
(2) 文字の表示方法について(ア) 商品又は役務の普通名称をローマ字又は仮名文字で表示するものは、「普通に用いられる方法で表示する」ものに該当すると判断する。(イ) 取引者において一般的に使用されていない漢字(当て字)で表示するものは「普通に用いられる方法で表示する」に該当しないと判断する。
慣用商標
二 その商品又は役務について慣用されている商標
文字や図形等からなる商標:
商品「自動車の部品、付属品」について、商標「純正」、「純正部品」
商品「清酒」について、商標「正宗」
商品「カステラ」について、商標「オランダ船の図形」
色彩のみからなる商標: 役務「婚礼の執行」について、商標「赤色及び白色の組合せの色彩」
音商標: 役務「屋台における中華そばの提供」について、商標「夜鳴きそばのチャルメラの音」
記述的商標
三 その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。第二十六条第一項第二号及び第三号において同じ。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
記述的商標
(1) 商標が、「コクナール」、「スグレータ」、「とーくべつ」、「うまーい」、「早ーい」等のよ うに長音符号を用いて表示されている場合で、長音符号を除いて考察して、商品又は 役務の特徴等を表示するものと認められるときは、原則として、商品又は役務の特徴等を表示するものと判断する。
(2) 商標が、商品又は役務の特徴等を間接的に表示する場合は、商品又は役務の特徴等を表示するものではないと判断する。
(3) 商標が、図形又は立体的形状をもって商品又は役務の特徴等を表示する場合は、 商品又は役務の特徴等を表示するものと判断する。
商品の「産地・販売地」、役務の「提供の場所」について
(1) 商標が、国内外の地理的名称(国家、旧国家、首都、地方、行政区画(都道府県、市町村、特別区等)、州、州都、郡、省、省都、旧国、旧地域、繁華街、観光地(その 所在地又は周辺地域を含む。)、湖沼、山岳、河川、公園等を表す名称又はそれらを 表す地図)からなる場合、取引者又は需要者が、その地理的名称の表示する土地にお いて、指定商品が生産され若しくは販売され又は指定役務が提供されているであろう と一般に認識するときは、商品の「産地」若しくは「販売地」又は役務の「提供の場所」 に該当すると判断する。
(2) 商標が、国家名(国家名の略称、現存する国の旧国家名を含む。)、その他著名な 国内外の地理的名称からなる場合は、商品の「産地」若しくは「販売地」又は役務の「提 供の場所」に該当すると判断する。
商品の「品質」、役務の「質」を表示するもの
商品「書籍」について、商標「商標法」、「小説集」
商品「録音済みのコンパクトディスク」について、商標「クラシック音楽」
役務「放送番組の制作」について、商標「ニュース」、「バラエティ」
役務「録音済みコンパクトディスクの貸与」について、商標「日本民謡集」
役務「映写フィルムの貸与」について、商標「サスペンス」
「書籍」、「放送番組の制作」等の商品又は役務について、商標が、需要者に題号 又は放送番組名(以下「題号等」という。)として認識され、かつ、当該題号等が特定 の内容を認識させるものと認められる場合
商品「レコード」について、商標が、需要者に歌手名又は音楽グループ名として広く認識されている場合
「飲食物の提供」に係る役務との関係において、商標が、国家名、その他の地理的名称であり、特定の料理(フランス料理、イタリア料理、北京料理等)を表示するものと認められるとき
商品の「形状」、役務の「提供の用に供する物」について
(1) 商標が、指定商品の形状(指定商品の包装の形状を含む。)又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識されるにすぎない場合は、その商 品の「形状」又はその役務の「提供の用に供する物」を表示するものと判断する。また、商標が指定商品(指定商品の包装を含む。)又は指定役務の提供の用に供する 物そのものの形状の一部と認識される場合についても同様に取り扱う。
(2) 建築、不動産業等の建築物を取り扱う役務を指定役務とする場合に、商標が立体 商標であり、その形状が建築物の形状そのものの範囲を出ないと認識されるにすぎないときは、その役務の「提供の用に供する物」を表示するものと判断する。
(3) 小売等役務に該当する役務において、商標がその取扱商品を表示する標章と認められるときは、その役務の「提供の用に供する物」を表示するものと判断する。
ありふれた標章(1)
四 ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
(ア) 著名な地理的名称について :(例) 「日本」、「東京」、「薩摩」、「フランス」等
(イ) 業種名について :(例) 「工業」、「製薬」、「製菓」、「放送」、「運輸」、「生命保険」等
(ウ) 商号や屋号に慣用的に付される文字や会社等の種類名について
商号・屋号:「商店」、「商会」、「屋」、「家」、「社」、「堂」、「舎」、「洋行」、「協会」、「研究所」、「製作所」、「会」、「研究会」等
会社等の種類:「株式会社」、「有限会社」、「相互会社」、「一般社団法人」、「K.K.」、「Co.」、 「Co., Ltd.」、「Ltd.」等
ありふれた標章(2)
五 極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標
ローマ字の1字又は2字からなるもの
仮名文字1字
1本の直線、波線、輪郭として一般的に用いられる△、□、○、◇、等の図形
球、立方体、直方体、円柱、三角柱等の立体的形状
識別力のない商標
六 前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標
現元号を表示する商標 (「平成」、「HEISEI」等)は、本号に該当すると判断する。
商標が、事業者の設立地・事業所の所在地、指定商品の仕向け地・一時保管地若しくは指定役務の提供に際する立ち寄り地(港・空港等)等を表す国内外の地理的名称として 認識される場合は、本号に該当すると判断する。
使用による顕著性
2 前項第三号から第五号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。
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今日の授業はここまで・・・・
不登録事由(公益・権威の維持)(商標法4条1項1から6号)
一 国旗、菊花紋章等
二 パリ条約の同盟国等の国の紋章その他の記章
三 国際連合その他の国際機関を表示する標章
四 赤十字の標章
五 政府又は地方公共団体の監督用又は証明用の印章又は記号
六 非営利公益団体の著名標章
等と同一又は類似の商標
不登録事由(公益:公序良俗)(商標法4条1項7号)
七 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標
不登録事由(私益)(商標法4条1項8号)
八 他人の肖像若しくは他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)又は他人の氏名を含む商標であつて、政令で定める要件に該当しないもの
登録第5401366 長嶋茂雄
登録第4981751 福澤諭吉
改正前
不登録事由(私益)(商標法4条1項8号)
八 他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)
不登録事由(私益:賞の権威・商品等の質の維持)(商標法4条1項9号)
九 政府若しくは地方公共団体(以下「政府等」という。)が開設する博覧会若しくは政府等以外の者が開設する博覧会であつて特許庁長官の定める基準に適合するもの又は外国でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会の賞と同一又は類似の標章を有する商標(その賞を受けた者が商標の一部としてその標章の使用をするものを除く。)
不登録事由(私益:未登録周知商標の保護)(商標法4条1項10号)
十 他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
★不登録事由(私益:出所混同防止)(商標法4条1項11号)
十一 当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務(第六条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により指定した商品又は役務をいう。以下同じ。)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
左の商標は右の先登録商標に類似するとして拒絶されるべきか?
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不登録事由(私益:出所混同防止)(商標法4条1項12号)
十二 他人の登録防護標章(防護標章登録を受けている標章をいう。以下同じ。)と同一の商標であつて、その防護標章登録に係る指定商品又は指定役務について使用をするもの
十三削除
不登録事由(私益:普通名称化促進)(商標法4条1項14号)
十四 種苗法 (平成十年法律第八十三号)第十八条第一項 の規定による品種登録を受けた品種の名称と同一又は類似の商標であつて、その品種の種苗又はこれに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
趣旨:種苗法で登録され、将来普通名称化を図る名称の登録防止。
種苗登録を受けた本人も登録できない。
★不登録事由(私益:出所混同防止)(商標法4条1項15号)
十五 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)
10号から14号の総括規定
★不登録事由(私益:品質誤認防止)(商標法4条1項16号)
十六 商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標
品質の劣悪は関係ない
不登録事由(私益:原産地表示保護)(商標法4条1項17号)
十七 日本国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地のうち特許庁長官が指定するものを表示する標章又は世界貿易機関の加盟国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地を表示する標章のうち当該加盟国において当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒若しくは蒸留酒について使用をすることが禁止されているものを有する商標であつて、当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒又は蒸留酒について使用をするもの
不登録事由(私益:立体商標の弊害防止)(商標法4条1項18号)
十八 商品等(商品若しくは商品の包装又は役務をいう。第二十六条第一項第五号において同じ。)が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標
立体商標制度導入・・商品の形状や商品の包装の形状そのものの範囲を出ないと認識されるにすぎない立体商標は、自他商品識別力を有しない (三条一項三号)、が使用により顕著性出る場合があり登録可能性がある(同二項)。しかし、そのようなものを登録させるのは弊害となるので、登録しないこととした。
不登録事由(私益:不正排除)(商標法4条1項19号)
十九他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)
2国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であつて営利を目的としないものを行つている者が前項第六号の商標について商標登録出願をするときは、同号の規定は、適用しない。
3第一項第八号、第十号、第十五号、第十七号又は第十九号に該当する商標であつても、商標登録出願の時に当該各号に該当しないものについては、これらの規定は、適用しない。
4第一項第十一号に該当する商標であつても、その商標登録出願人が、商標登録を受けることについて同号の他人の承諾を得ており、かつ、当該商標の使用をする商品又は役務と同号の他人の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の業務に係る商品又は役務との間で混同を生ずるおそれがないものについては、同号の規定は、適用しない。
おわり
著作:弁理士 遠山 勉
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